過失割合の求め方
1 過失相殺の可能性
交通事故が発生について、一方当事者のみが責任を負うとは限りません。
特に、自動車同士の事故の場合には、赤信号での停車中の事故を除き、両当事者に過失が認められることが多いです。
たとえば、信号機による交通整理が行われていない交差点において、優先道路を直進中してきた自動車と脇道から交差点に進入してきた自動車が出合い頭に衝突した場合であったとしても、原則として、優先道路側の車両には、1割の過失が存在するとされています(別冊判例タイムズ38民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準全訂5版(以下「別冊判例タイムズ38」といいます。)第223頁図【105参照】)。
このため、交通事故に関して、どのように過失割合を求めるかが重要となります。
2 過失割合の求め方
交通事故の過失割合を求めるにあたっては、別冊判例タイムズ38という書籍が参考になります。
この書籍は、四輪車、単車、自転車及び歩行者が関わる交通事故を類型化し、基本となる過失割合と修正要素を記載しています。
現在の実務では、発生した事故を別冊判例タイムズ38に記載された類型に当てはめて、過失割合を求めることがほとんどです。
逆に、別冊判例タイムズには記載されていない類型の交通事故が発生した場合には、明確な指針がありません。
この場合には、過去の裁判例から類似した事故態様のものを検索し、過失割合を求めることになります。
過失割合について当事者間での折り合いがつかない場合には、訴訟に発展することも少なくないため、見通しを立てるためにも、裁判例調査は重要といえます。
3 証拠保全の重要性
過失割合を決める前提として、事故態様を証明できることが必要となります。
事故態様について争いがあり、明確な証拠もない場合には、交渉により過失割合を決めることができず、訴訟に至ることも少なくありません。
このため、自衛のために、ドライブレコーダーを搭載しておくことを、強くお勧めします。