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弁護士法人心 栄法律事務所

通院付添費が認められる場合

  • 文責:所長 弁護士 江口潤
  • 最終更新日:2021年3月17日

1 通院付添費とは

交通事故に遭い、負傷した被害者は、病院に通院し、診察・治療を受ける必要があります。

その際、被害者の年齢・症状次第では、近親者の付添いがなければ通院できないことがあります。

近親者は、自身の時間を使い、時には仕事を休んでまで被害者の通院に付き添います。

最高裁は、被害者が、受傷により付添看護を必要とし、近親者の付添い看護を受けた場合には、現実に付添費の支払いをせず、その請求を受けていない場合であっても、被害者は付添費相当額の損害を被ったものとして、加害者に対してその賠償を請求することができるとしています(最判昭和46年6月29日民集25巻4号650頁)。

これは、被害者の近親者による付添看護は、金銭的に評価できないものではなく、ただ、肉親の情誼によりその出捐を免れているだけであり、その恩恵の効果を加害者にまで及ぼすべきではないとの判断からです。

2 通院付添費が認められる場合

上記の通り、最高裁は、被害者が、受傷により付添看護を必要とする場合、近親者の付添看護を受けたときは、付添看護費を請求できるとしています。

自動車損害賠償責任保険では、12歳以下の子供の通院等に近親者等が付き添った場合には、看護の必要性について医師の証明を要することなく、通院看護費を支払うとしています。

このため、裁判実務でも、12歳以下の子供の通院については、付添の必要性を認め、通院付添費を認める傾向にあります。

一方、被害者の年齢が12歳を超える場合、未成年であったとしても、常に付添いの必要性が認められるとは限りません。

被害者の症状や医師の指示の有無などから、付添の必要性が認められる必要があります。

未成年である被害者を心配して、仕事を休んで通院に付き添われているご両親も多いことと思いますが、必ず通院付添費が認められるわけではないため、事前に医師の指示書を取り付けるなどの注意が必要です。

症状から通院付添費が認められる場合としては、脊髄損傷により四肢に麻痺が残っている、下肢を骨折しているなど、その症状から、通院のために付添看護が必要であることが必要となります。

3 通院付添費の金額

自動車損害賠償責任保険の支払基準では、近親者による通院看護料(付添費)は、1日当たり2100円(令和2年3月31日までの事故は2050円)とされています。

民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準(いわゆる「赤い本」)では、通院付添費は1日当たり3300円、ただし、事情に応じて増額を考慮することがある、とされています。

被害者の年齢・症状から、近親者が休業してでも通院に付き添う必要があった場合には、休業損害相当額が、通院付添費として認められることがあります(4歳の幼児の通院に母親が付き添った例として、東京地判平成8年12月10日。)。

ただし、常に、休業損害相当額の請求が認められるわけではないため、注意が必要です。

4 早めに弁護士にご相談を

ご家族が交通事故に遭われた場合、常に寄り添いたいと思われることでしょう。

その際、加害者に対して付添費が請求できるのであれば、金銭面での不安も解消されます。

しかしながら、付添費が支払われるかどうかは、治療費や通院交通費と比較して、容易に判断がつくものではありません。

弁護士法人心は、交通事故案件に関する膨大なノウハウがございますので、弁護士法人心 栄法律事務所にご相談ください。

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